2050年には世界人口の半数に当たる約50億人が近視になり、そのうち10億人は強度近視による失明リスクにさらされる(豪ブライアン・ホールデン視覚研究所)
「デジタルデバイスの普及に伴う、近視患者の異常なまでの急増に、私を含め、世界中の眼科医が戦々恐々としています。患者の増え方は、まさにパンデミック並み」
眼科医の川本晃司先生は、著書「
スマホ失明」のなかでこう述べておられます。
現在、日本人の1割以上が強度近視だと言われています。そのうちの40%程度(100人に4人以上)が黄斑症を発症、かつ6%は10年以内に失明する可能性が高いそうです。
しかも強度近視の方は近視ではない人に比べると、白内障リスクが5.5倍、緑内障3.3倍、網膜剥離21.5倍にもなるそうです。
強度近視は、網膜や視神経が引き伸ばされて強い負荷がかかる「病的近視」となり、網膜脈絡膜萎縮や黄斑部出血、近視性牽引黄斑症、緑内障、近視性視神経症などが発生、メガネやコンタクトレンズでの視力回復は難しく失明の可能性もあります。
そんな方にお勧めできるのがICL手術(有水晶体眼内レンズ手術)。ICL手術では約-3.00~-18.00D程度まで対応できるそうですよ。
視力を取り戻せるICL手術ですが、もちろんデメリットも。合併症や副作用の可能性がありますので医師の説明を理解したうえで進めてくださいね。稀には炎症や角膜内皮減少、高眼圧など合併症が起来た場合は追加処置が必要になることもあるそうです。
そして、もう一点。保険がきかないため、全額自己負担となります。自由診療ですから病院によっても差があるものと思われますが、手術だけでも数十万円、手術前の検査、術後の診察なども含めて計算しておかなければなりません。
また年齢的な変化(水晶体の加齢変化)を考えると、45歳までが望ましいとされています。ICLは屈折異常(近視・遠視・乱視)を矯正する手術ですので、老眼や白内障を治療することはできません。
もし、老眼と白内障の両方が認められた場合は多焦点レンズ(遠近両用多焦点レンズ)を活用した白内障手術を受けることができます。こちらは、保険適応となりますよ。
いずれにしろ手術自体はごく短時間で済みますが、重要な点は事前の適性検査です。この辺を医師にしっかり相談して、最適な見えを実現してもらえるようにしなければなりません。
白内障手術で多いのが「よく見えない」「こんなはずじゃなかった」というケース。手術してからでは手遅れ。事前相談が大事です。
ちなみに、大人になると近視の進行は止まるはずなのに、近年は大人になってからも近視が進行するケースが増えているそうですよ。原因は、やはり、あれ、スマホですよね。お互いに気を付けましょう。